令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

「そう簡単には行くか!」


お祖父様にピシャリと言われてしまった。


「なぜ? 栞はちゃんと断わったじゃないか?」

「だが、相手は諦めておらん」

「そんなの、向こうの勝手だろうが……」


お祖父様はそれには答えず、私の方に目を向けた。そして、


「栞の本当の気持ちはどうなんだい?」


と言った。意外な事にとても穏やかな声で、いつものように。

私は曖昧なお返事はすべきじゃないと考え、


「俊樹さんと結婚なんて、全く考えられません」


とはっきりお答えした。


「つまり、嫌なんだね?」

「はい。絶対にイヤです」

「そうか、わかった」

『いいんですか?』


思わずパパとハモってしまった。


「栞が嫌なら仕方ないじゃろ? わしも今日の彼を見て、考えが変わったしな。彼にはどうやら問題がありそうだ」


私はお祖父様のお言葉にホッと胸を撫で下ろした。お祖父様はとても頑固な方だから、もし何がなんでも俊樹さんと結婚しろ、と言われたらどうしようかと思っていたから。

でも……


「じゃあ、親父から断わってくれるんだな?」


というパパの言葉に、


「それは早川さんの出方次第だ。向こうが何も言って来んのに、こっちから駄目押しみたいな真似は出来ん」


とお祖父様は言い、私の不安が完全に消え去る事はなかった。