令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

何て言おう……

もちろん、私は俊樹さんと結婚なんかしたくない。もし結婚するとしたら……悠馬さんとがいい。


でも、この場でそんな事は言えるわけもなく、俊樹さんのご両親に気を使ったりもして、私は慎重に言葉を選んでこう答えた。


「私、まだ結婚とかは考えられません。俊樹さんとは昔から仲良くさせていただいていますが、あくまでお友達と言うか、お兄さんっていう感じでしたから、俊樹さんと結婚するとか、婚約するとかは考えられません」


言った直後は問題ない答えだと思ったのだけど、すぐにそれは間違いだったと気付く事になってしまった。


「栞ちゃんは動揺しているね? 急な話だから無理もないけど」


俊樹さんはそう言って微笑んだけど、目は笑ってなかった。


「お互いまだ学生だし、結論を急ぐ事はないよ。今日は僕の意思表示という事にしておこう? ただし、今後は僕をそういう目で見てほしい。それぐらいはいいだろ?」


う……。私、何て答えればいいんだろう。