タエさんに案内されながら、私達三人は毛足の長い絨毯が敷き詰められた廊下を歩き、広い洋風の客間へ入っていった。


中央の奥の、いわゆる上座にゆったりと座るお爺様のお姿があったけど、私の目は、窓を背にして並んで座る三人に釘付けになってしまった。

その三人とは、早川夫妻と息子さん。つまり、俊樹さんと彼のご両親だった!


という事は、やっぱりママが言った通り、私の縁談なの?
そしてお相手は……俊樹さん!?


パパに目をやると、パパは唖然とした顔をしていた。たぶん私も同じような顔をしていると思うけど。ところがママを見ると、ママは平然な顔をしていた。


あ、そうか。ママはきっと全てを予想してたんだわ。そして私は思い出した。俊樹さんが言った不可解な言葉を。


『その松本という男とはあまり会わない方がいいね。変な噂が立つと、お互いの家に迷惑が掛かるから』


それを聞いた時、私はなぜ“お互いの家”という言葉が出てくるのか不思議だったのだけど、それはこういう事だったんだわ……


笑顔の俊樹さんが、初めて私は怖いと思った。