「どうしたらって、そういう問題じゃないと思います」

「と言うと?」

「それは……キスとかって、相思相愛の恋人同士がする事だと思うんです」

「なるほどね。だったら、おまえは俺を好きになれ。俺も……そうするから」


栞が言う“相思相愛”って、そういう事だろ?

俺は深く考えもせずにそう言った。今はとにかく、栞とキスが出来ればいい。


栞は無言で俺を見つめていた。その潤んだような瞳や、薄く開いたピンクの唇が、俺を悩まし気に誘っているのを、栞は自覚しているのだろうか……


ダメだ。もう我慢出来ない。この際、無言も同意の内って事にしておこう。


「あの、はる、ン……」


栞が何かを言いかけたが、俺はその開いた唇を俺の口で塞いだ。

栞は、驚きはしたものの強く拒む事はせず、俺は彼女の唇を味わう事が出来た。前回よりもゆっくりと、執拗なまでに。