「そ、それは言わないでください。忘れてください!」


キスした事は……


「はあ? そう言われてもなあ。おまえ、怒ってないの? あの時は怒ってたよな?」

「知りません! もう忘れましたから。だから悠馬さんも、忘れてください!」

「イヤだね」

「え?」

「俺は忘れないし、おまえだって本当は忘れられないんだろ?」

「そ、それは……」


その通りだった。忘れるなんて出来るはずない。だって、私のファーストキスだったのだから。


「実は俺、今も猛烈にしたい気分なんだよね」


悠馬さんは、そう言って私の両肩を掴んだ。


「な、何をですか?」


私はわざと惚けて聞いてみた。悠馬さんが何をしたいかは、分かっているのに。


「キスに決まってんだろ? 分かってるくせに……」


そう言いながら、悠馬さんは顔を私に近づけてきた。