令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

「はい」


それには、はっきりと自信を持って答えられた。子どもの頃から贅沢はダメって、パパからもママからも、ずっと言われて来たから。


「じゃあさ、小遣いはいくらぐらいもらってるんだ? 月にすると」

「え? 普通だと思いますけど?」

「と言うと……ぐらいか?」

「まさか! 桁が違います」


悠馬さんが小声で言った金額は、実際のお小遣いよりゼロが一つ多かった。


「桁が違うって、もっと上か?」

「まさか。下に決まってるじゃないですか……」


もう、悠馬さんったら……

その悠馬さんは、何か考える仕種をした後、微かにフッと笑った。


やがて電車は私が降りる駅に到着した。私は名残惜しいのだけど、悠馬さんから少し離れ、「今日はご馳走さま……」と言ってお辞儀をしようとしたら、


「俺も降りるから」


と言われた。