「本当にいいんですか?」

「ああ。でも、なんでそんな所に行きたがるんだ?」

「それはその……、悠馬さんがどんな場所で働いているのか、知っておきたいかな、なんて……」


それはもちろんあるのだけど、私にはもっと先にある計画があった。誰にも話していないし、悠馬さんにもまだ言わないつもりだけど。


「ふーん。じゃ、行くか?」


悠馬さんは自分の頭に手をやって歩き出した。その時、お顔がちょっと赤くなったように見えたのは、私の気のせいかしら……


「俺のバイト先は小さな洋食屋でさ、今日は休業してるし、見てもつまらないぜ?」


私が横に並ぶと、悠馬さんは歩きながら私を向いてそう言った。


「いいんです。場所が分かるだけでも……」


そう。今夜はそれが目的なんだもんね。