令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

帰りに会計をしようとしたら、吉田栞が財布を取り出すのを見て、


「いいよ。俺が出すから」


と俺は言った。正直3人分の払いはキツイが、それは覚悟の上の事。今日ぐらいは、多少の贅沢はやむをえないだろう。


ところが、吉田栞は自分で払うと言い張った。貧乏な俺に奢られるのがそんなに嫌なんだろうか。俺は人から貧乏人扱いされるのが大嫌いだから、


「いいって言ってんだろ!」


と、吉田栞を怒鳴っちまった。

我ながら大人気ないとは思ったが、引っ込みがつかなくなり、悪態をついてさっさと会計を済まし、俺は店を出た。


「ご馳走さまでした……」


背中から吉田栞のか細い声が聞こえたが、あえて俺は無視した。“短気は損気”って言葉は知ってるが、怒り出すと止まんねえんだよな、俺は……