令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

「お兄ちゃんったら、あたしと食事する約束してたのに、それをすっかり忘れて栞さんをデートに誘ったんです。ほんと、ドジなんだから……」


由紀のヤツ、また“ドジ”って言いやがった。


「そんなに“ドジドジ”言うなよ」

「だって、実際にそうでしょ? お兄ちゃんって、頭はいいし普段はしっかりしてるけど、意外とドジというか、ヘタレなところがあるんです」


由紀は俺自身も自覚してないような事を暴露しはじめた。勘弁してくれよ……


「あ、そうなんですか……」


うわ。間に受けんなよ、吉田栞!


「おい、納得すんな。俺はヘタレじゃねえし」

「ごめんなさい……」


という調子で、のっけから会話が弾んだ。由紀がいなかったらこうは行かなかっただろう。吉田栞と二人で、通夜みたいになってたかもしれない。ダブルブッキングして、結果オーライだったかもな。