令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

「それはだな……」


俺は由紀に吉田栞とのこれまでの経緯を掻い摘んで説明した。ただし彼女が吉田泰造の孫娘で、俺は復讐目的で彼女に接近している、という事は言わなかったが。


「つまり彼女じゃん。付き合い初めだけど」

「そうなるかな」

「それと……やっぱり忘れてたんじゃん。あたしとの約束は」

「あっ……」


いけねえ、バレちまった。


「ごめん!」

「でもあたし、行きたい。行ってもいい?」

「ああ、もちろん」

「栞さんってどんな人なんだろう。会うのが楽しみだなあ」



やれやれ……

吉田栞にはどうすっかなあ。妹が一緒だって言うべきだろうか。
いや、待て。もし下手に言って、“やっぱり行きません”なんて言われたら困るな。女は気難しいから。


黙ってるとするか……