令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

「さてはお兄ちゃん、忘れてた?」

「ば、バカを言うなよ。そんな大事なこと、忘れるわけないだろ?」

「ほんとかなあ」

「もちろんさ。ちゃんとレストランを予約してある。洒落た中華レストランをな」


つい勢いで言っちまった。


「中華なの? うわあ、楽しみ……」


参ったなあ。どうする?
由紀はもう断れないから、吉田栞の方を今度にしてもらうか?

いやいや、それはダメだ。そんな事して吉田栞にヘソを曲げられたら、二度と彼女に接近するチャンスはないだろう。

うーん……


「お兄ちゃん、考え込んじゃって、どうしたの? 」

「あ? うん、実はだな、由紀に言っておきたい事があるんだ」

「ふーん。どんな事?」

「それはちょっと言いにくいんだが……」

「お金がないから高いものは頼むな、とか?」

「違う! そんなケチ臭い事、言うわけないだろ? ちゃんとコースを頼んである」


あ、一人追加って言っておかないとな……