「もしかして、女が出来たの? あたし以外に……」


そう言われた俺は、一瞬だが吉田栞を思い浮かべてしまった。しかし吉田栞はそういう存在にはなり得ないし、杏里さんに彼女の事を言うつもりもない。


「別にそういうわけじゃ……」

「だったらいいじゃないの。今のままで……」

「はあ」


結局、別れ話は失敗に終わった。でもまあ、今回は意思表示をしたって事で、よしとするかあ。



その後、俺は引き止めようとする杏里さんを振り切り、アパートを後にした。


今日は失敗したが、杏里さんとは早い内に関係を絶たないとな。このままじゃ、その内一緒に暮らそう、なんて言われかねない。下手したら、結婚を迫られたりしてな。

そんなのはごめんだ。暮らすなら、性格の優しい女がいい。妹の由紀とか、吉田栞みたいな……って、何を考えてるんだ、俺は!


あいつは復讐のターゲットだろうが。しっかりしろよ、自分!


今日、俺はターゲットをしっかりロックオンしたわけだが、次はどう攻めるかな。

おお、そうだ。
明後日はバイトが休みだから、吉田栞を誘ってみるか。デートとやらに……