令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

「いや、それは困ります」

「どうしてよ?」

「俺、あの店を辞めたくないんです。せっかく仕事に慣れたし、大学から近いし、自給はそこそこいいし……。あ、杏里さんだって困るでしょ? あそこを辞めたら……」

「そりゃあ困るけど、あたし達の関係の方が大事でしょ?」


いやあ……俺はそうでもないんだよなあ。

あ、そうだ。このタイミングで言っちゃうかな。“終わりにしましょう?”って……。うん、そうしよう。


「杏里さん」

「ん?」

「えっと……」


こういう話って、言い出しにくいんだよなあ……


「何よ?」

「はい。あの……俺達の関係なんですが、終わりにしませんか?」


言った……。言っちまった。杏里さん、泣くかなあ。

と思ったのだが……