令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

「安心して? ハル君との事は言ってないから」

「そ、そうですか」


いけね……。俺、顔に出ちまったかな。


「でもね……」


と言って、杏里さんは口をつぐんだ。何だろう、この間は?
なんか、嫌な予感がするなあ……


「ねえ、ハル君……」


杏里さんは俺の腕に手を触れ、甘えるような、あるいはおねだりするような声を出した。


「は、はい?」


声がひっくり返っちまった。


「あたし達の事、言っちゃダメ?」


やはりそう来たか……。そんな予感がしたんだよなあ。


「いや、それは……」

「店長が疑ってるのよ……。あたし達の関係を。今日のところは惚けたけど、隠すのはもう限界かなあ、なんて」