令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

「でね、特に予定はないって言ったら、“じゃあ、ボクと出掛けない?”だって」


ほお……。店長の奴、とうとう行動に出たわけか。


「あたしが“それってどういう事ですか?”って聞いたら、“ボクはキミをデートに誘ってるつもりだけど?”だって。何が“ボク”よね? 赤い顔しちゃってさ、キモイったらありゃしない。あのハゲ!」


おいおい、それは言い過ぎだろう……

ま、確かに厳つい顔した店長が“ボク”とか赤面して言うのを想像したら、確かにキモイと俺も思うけどね。


「で、杏里さんは何て返事したんですか?」

「もちろん断ったわよ。“困ります”って。でも、あのハゲ、じゃなかった店長、シツコクてさあ。“奢ってやるから”とか、“彼氏はいないんだろ?”とかさ……」


まさか、そこで俺の名前を出したんじゃ……!?