令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

「そう? あんな奴、“ハゲ”で十分よ」

「いや、いくらなんでも、それはちょっと……」

「ん……わかった」

「すみません。で、店長が何か?」

「うん……」


杏里さんは年下の俺に意見されたのがちょっと気に入らないらしく、顔をしかめながらコーヒーをすすった。しかし気を取り直すかのようにして、続きを話し始めた。


「明後日の休みは予定があるのか、って聞いて来たのよ」

「へえー。でも、それっていつもの事ですよね?」


店長が杏里さんにそういう事を聞くのは日常茶飯事だと思う。俺には一切聞いて来ないが。


「違うわよ。今までは“何するの?”とか、“どこか行くの?”とかだった。予定の有無を聞かれたのは初めてよ?」

「ああ、なるほど……」


似たようなもんだと思うけどね。