「どうして?」

今度は私が“どうして?”って聞く番だった。というか、ママはとても真面目な顔で言ってるのだけど、それが私には不思議でならない。

俊樹さんに話す、話さないなんて、大して重要な事とは思えないのだけど……


「それは言えないけど、その方が良いからよ。この先言わなきゃいけない状況になったら、言えば良いのじゃない?」

「それって、例えばどんな状況?」

「そうね……、例えばあなたが松本さんとデートするとするじゃない?」

「で、デート!?」

「そうよ? お付き合いをするって、そういう事でしょ?」


うわあ、デートかあ。
咄嗟に私は、公園みたいな所を、松本さんと並んで手をつないで歩く光景を思い浮かべた。

きゃっ、恥ずかしい……