令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~

絵理ったら、急に“ね?”なんて言われても困るよ……

そもそも私は松本さんが苦手だなんて、一言も言ってないのに……


「合コンの時、栞がなぜ早く帰ったか、あなた方は知ってますか?」

「あれは確か、栞ちゃんの具合が悪くなったからじゃ……」

「そうよ。じゃあ、どうして栞の具合が悪くなったと思う?」

「もしかして、俺のせいか?」

「それは……」

「そうよ」


“それは違います”と松本さんに言いたかったけど、絵理に先を越されて言えなかった。


「栞はね、あなたからガン見されるのが嫌で嫌でしょうがなかったの。気分が悪くなるくらいに。今だって、大丈夫かどうか……」


ああ、それでさっき絵理は“大丈夫なの?”って聞いてきたのかあ。

あの時、私は確かに松本さんの視線が気になって気分が悪くなったけど、それは松本さんのせいと言うよりも、松本さんが気になるくせに、彼に話し掛ける事も出来ず、パニックになった私が悪かったのだと思う。