タバコに火をつけようとしたけれど、新田さんのハンカチの香りを、失いたくなくて吸うのをやめた。

何杯目かわからなくなった、カシスオレンジを飲んだ。


「そのハンカチ、あなたらしくない色だね。」


マスターに話しかけられるまで、私はずっとハンカチを見つめていた。