「離せ。」
あたしの低い声があたりに響く。
「殺気くらいしまって言えねぇのかよ。みんな怯えてるぞ。」
真純の暢気な声がする。
どうしてあたしがこんな態度をとっているのか分かっているくせに、
どうして真純はいつもあたしにそうやってあたしがやりたくない『正反対』の行動をさせようとするんだ。
「うるせぇよ。」
「嗄綺ちゃん。」
「まだ何か用。」
「さっきの質問に答えてほしいんです。」
「質問??面倒くさい。」
「お願いです。本当にどうしてそこまで俺等を嫌うんですか??」
「真実を述べるつもりはない。」
「何故ですか!?」
「……………真純。先に真純の部屋に居るからな。」
「説明してからにしてやれよ。こいつ等は本当にちゃんと分かるまで追いかけてくるぞ??」
「だから??その瞬間、あたしはこいつ等を迷うことなく殺す。」
「物騒なことを言うなよ。」
「真純が先に言ったんだろ。」
「そうだけど、嗄綺が言うと冗談じゃなくなるだろ。」
「分かってるなら言うんじゃねぇよ。」
あたしは悠葵と竜呀、哲平、舜弥の横を通り過ぎて足を進ませる。
「ここから出れるのか??」
「あぁ。」
「良いのか、勝手に出て。」
「知らねぇよ。もうどうでもいい。哲平には正体はどうせバレてる。」
「本当に知ってるのか??哲平。」
真純が驚いたように哲平を見て問いかけている。
「嗄綺の正体なら……………知ってます。」
「だろ。」
あたしは階段を下りていく。
下っ端の奴らがあたしをじっと見る。
舌打ちしたいような衝動を必死に抑える。
ここで舌打ちすれば全員が襲いかかってくるんだろうな。
当たり前か……………憧れてこの黒龍に入ってる奴等が大半の数を占めてるんだ。
目の前で自分の『憧れの人』や『大切な人』そして『大事な人』を見ず知らずの女に侮辱されたんだ。
怒りで気が狂いそうになっているだろう。

