「待ってよ、そこの可愛い女の子。」
肩を誰かに掴まれる。
まぁ『誰かに掴まれる』っていうのは白々しいけどね。
「なんだよ、触んな。」
「可愛い顔が台無しだよ。」
そう笑いかけてくる竜呀。
でも、その瞳の奥は笑ってはいない。
深い深い『怒り』で染まっている。
そうか、仲間を侮辱されて怒ってるのか。
あたしはこの時にようやく気が付いた。
竜呀の身体が異常にあたしのことを怖がっていることに。
「怖ぇなら見栄張って触んじゃねぇよ。」
「怖くて、当たり前だよ。こんなに可愛い女の子が哲平に。仮にも全国No.1の族の総長に啖呵きって怒鳴り散らすなんて普通は思わないよ。」
「だからなんだよ、寂しさを女でしか埋められない竜呀クン。」
「っっ……………。」
「あぁ、図星だったか。」
あたしは竜呀に腕を掴んで捻り上げた。
「いっ…………っっ………。」
途端にあたしから逃れようとする。
でも、あたしが掴んだ腕から逃れられずに歯を食いしばっている。
ギリギリと竜呀の腕が捻りあげられていく。
「っっ…………。」
苦しげな呻き声が竜呀の口から漏れる。
「嗄綺っ!!!!」
哲平が竜呀の腕を掴んでいたあたしの腕を掴む。
「竜呀の腕が折れるだろっ!!!!」
「そうか、だから??」
「離してやれっ!!!!」
その一言にあたしはパッと竜呀の腕を離した。
竜呀はあたしを見つめる。
でも、その瞳には『恐怖』が芽生えている。
「怖かった??ゴメンね??」
すぐに、竜呀の『寂しさ』を埋めるための良いものを用意するから。
女の子を抱くんじゃなくて、もっと自分も相手も大事に出来る方法を。
だから、さっきの腕を捻ったのは許してほしいな…………。
まぁ、こんだけ怖がらせておいて『許してほしい』なんて可笑しいか。
あたしは、哲平の腕をじっと見た。
綺麗な手だな。
あたしの汚れてしまった身体よりも何倍も何十倍も綺麗だな………。
色んな人たちを守ってきた優しくて温かくて綺麗な手。

