「さ………き??」


あたしの名前を哲平が眠そうに呼ぶ。


「あっ…………。」


あたしは起こしてしまった罪悪感と哲平に心を許した自分に腹がたった。


「嗄綺………!!!!もう身体は大丈夫なのかっ!?!?」


あたしの名前をもう1度だけ繰り返すと哲平はあたしの身体を引き寄せた。


「嫌だっ!!!!」


あたしは咄嗟に哲平の腕を振り払った。


「えっ……………。」


哲平が振り払われた腕を見て、目を見開いている。


「っっ………。」


あたしはこの見覚えのある部屋から出た。


まさかっ!!!!     そんな…………まさかっ!!!!


後ろから哲平の引き止める声が聞こえた。


だけど、あたしはその声とは反対にどんどんと走っていく。


しかし、あたしの身体が誰かによって止まった。


「ちょっ!!!!どこに行こうとしてるんですか??」


すこし、ゴツい手があたしの視界に入る。


この声も…………嘘だっ…………嘘だっ………。


「離してっ…………。」


「離せないです。うちの総長が貴女のこと連れて来たんですから。」


あたしはその一言に顔を勢いよく上げた。


「嗄綺ちゃんですよね??先ほど貴女のことをうちの総長の聞いたらそう教えてくれたので。」


そこには……………。


あたしはこの人を知っている。


黒龍の副総長であって、名前は。


「黒龍の副総長をしている天宮舜弥です。よろしくお願いします。」


そう。天宮だ。


天宮はあたしを知らない。


だけど、あたしはこの黒龍のメンバー全員を知っている。


下っ端の奴等の名前も全てを。


あたしが黒蝶でもあるからだって言うのもある、。


でも、それ以外にもあるんだ………。