「嗄綺……………大丈夫だ。」


俺は嗄綺を包み込むかのように抱き締めて、ひたすら嗄綺の背中を擦りながら温めた。


さっきよりも嗄綺の身体は以上に震えている。


「なんで俺は1人の女に対して………。」


ふと嗄綺を抱き締めながら思った1つの疑問をそのまま声に出して言う。


その時、遠くから爆音が聞こえてきた。


「悠葵か、竜呀だな。」


すると………………。


「哲平!?!?」


「大丈夫なのか!?!?」


「悠葵、早く嗄綺を倉庫に連れて行け。」


「嗄綺??」


俺の腕の中を見て……………。


「おっ!?!?女!?!?」


「何!!!!女の子!?!?」


悠葵は顔を青ざめると俺から凄い勢いで離れて代わりに竜呀が俺の所に食い入るように来た。


「竜呀、離れろ。悠葵、嗄綺の説明は後だ。」


俺は簡潔に竜呀と悠葵に伝えると、側に来た車に乗った。


「倉庫にすぐに迎え。」


車がゆっくりと進んでいく。


俺は嗄綺を更に強い力で抱き締めて倉庫に着くまで瞳を瞑った。


咲良さんと誰かが居る夢を見た。


その『誰か』は分からない。


だけど、その顔を姿を知ろうとするとどうしても胸が痛んだ。


そんな……………切ない夢だった。




哲平side end