何回かのコールが続く。


「早く出ろッ。」


『哲平ですか??』


「舜弥っ!!!!早く来いっ!!!!」


舜弥は俺の只ならぬ雰囲気に気が付いたのか、真剣な声に変わった。


『今どこですかっ!!!!』


「っっ…………。」


この場所は言えない…………どうするっ………。


『早くしてください!!!!』


「空波公園だ!!!!」


俺はこの近くにある公園の名を悠葵に伝えた。


『空波公園だな!?竜呀、悠葵、急いで行けっ!!!!』


電話の向こうではドタバタと激しい音がする。


『すぐに行きます!!!!待っててくださいっ!!!!』


そう言うと悠舜弥は電話を切った。


「チッ…………早く来いっ。」


俺は嗄綺を抱えて空波公園に着いた。


バイクは俺のしか持ってきていない。


それに、さっきの場所を見た時に何故かバイクが無かったんだ。


嗄綺のバイクじゃないのか??


そんなおかしな疑問もあったが、とりあえずは嗄綺の異常な震えだ。


「っっ………波奈っ………咲良さんっ…………。」


魘されているのか何度も名前を呼んでいる。


さっきまでは有無を言わせない殺気が取巻いていたのに、今の嗄綺はすぐに壊れてしまうんじゃないかと勘違いしてしまいそうなほどに儚い。