「離せっ!!!!」
「答えろっ!!!!」
「嗄綺なんかじゃない!!!!」
ヒステリックになりながら嗄綺は…………叫んだ。
「嗄綺なんだろ。その姿も咲良さんが良く話してくれた姿と一緒なんだ。」
「っっ!!!!」
「身体を黒で統一させて、正体を分からせないようにする。」
「違うっ…………。」
「そして、いつも右耳には金色の蝶のピアス。」
その瞬間、嗄綺は右手でピアスを素早く隠した。
「なんでそれをっ!!!!」
「咲良さんがいつも愛しそうに話してくれたんだよ。」
「っっ!!!!」
『家には自慢の娘が2人居て、どっちも意地っ張りで。でも、誰よりも人の気持ちを分かってあげられてその2人はいつも金色の蝶のピアスをしてて。姉のような嗄綺が右耳に。妹のような波奈が左耳にしてるよ。』
「口癖のように毎日、毎日話してくれた。」
「っっ…………。」
「右耳にしてるその金色の蝶がお前を嗄綺だと言ってるようなもんだろ。」
「違うっ!!!!」
「なんで認めないんだよ!!!!」
「いい加減にしろ。」
一瞬で嗄綺の口調が変わった。
この嗄綺は誰なんだ??
「黙れ。」
「嗄綺??」
「何度も言わせるな。嗄綺は居ない。」
「何言ってるんだよ。」
「嗄綺なんてものこの世に存在はしない。」
「おい、冗談は止めろ。」
「やっと出てきたな。黒龍の総長の加宮哲平が。」
「うるせぇ。」
「だけど、今日はこの場所から消えろ。もうお前とは関わらない。」
「何度だって来るさ。」
「そうか、なら殺そう。」
_____________刹那。
「えっ……………。」
嗄綺の姿が消えた。
突然、脇腹に鈍く重い痛みが走る。
「ぐっ………。」
「さっさと消えろ。お前を本当に殺すぞ。」
その目には温もりなんてなくて…………。
ただ、背中には冷汗しか出ないほどに冷え切っていた。
「邪魔だ。このまま本当に殺されるか??」
そう言って、喉を鳴らしながら嗄綺は笑った。
その笑顔には『殺気』しか込められていないほどに冷酷なものだった。

