「痛ぇな。」


『加宮哲平』は顔を歪ませる。


振り払った時にあたしの爪が当たったのか手から少しだけ血が出ている。


「チッ。」


『加宮哲平』は舌打ちをしてあたしを見た。


「何すんだよ。」


「アンタがあたしに触るからでしょ。」


あたしは血が地面に垂れるのを横目に『加宮哲平』を見る。


鮮やかな色の血が芝生に落ちて草を赤く染める。


「……………なんでお前を捜しても見付からないんだ。」


「捜しても見付からない??」


「あぁ。お前を学校で見付けようとしてもいつも見付けられない。」


「だって学校に行ってないもん。」


「……………マジかよっ…………。」


『加宮哲平』は頭を抱えた。


「血が付く。」


あたしは咄嗟に『加宮哲平』の腕を掴んで服から引き離していた。


「まだ血が止まって無かったのか。」


「服に付く。」


あたしは『加宮哲平』の腕を引いて口元へと運んだ。


___________チュッ。



短いリップ音が鳴る。


「なっ\\\\\\」


「うるはい。(うるさい)」


あたしは血を少しずつ吸いながら話した。


鉄の味のようなものが口の中に広がっていく。


「なっ!!!!馬鹿っ!!!!止めろって!?!?」


「あっ。止まった。」


あたしはゆっくりと腕を口元から話した。


すると………………。


今まで見えなかった『加宮哲平』の顔が見えた。


そこには、綺麗に整った顔があるが…………。


「純情??顔が真っ赤だよ??」


「っっ\\\\\\」


「バイバイ、哲平。」


「っっ!!!!名前、覚えて!?!?」


あたしはその声に反応するわけでもなく帰った。