✰悠矢side✰
「嗄綺っ…………。」
俺は愛しいその名を呼んだ。
でも、返事は…………ない。
行くなっ…………行くなっ…………側に居てくれっ………。
声にならない想いが頭の中をグルグルと回る。
嗄綺はどうしていつもそんなに悲しそうな顔をしなくちゃいけないんだよ。
どうして嗄綺なんだよ。
どうして……………嗄綺が傷付かなきゃいけないんだよ…………。
俺はどうしたら嗄綺を助けてやれるんだ??
俺はどうしたら嗄綺を守れるんだ??
どうしたら……………………。
1人になった部屋の中は静寂に包まれて、
さっきまで感じていた温もりはいつしか消えていて、
心に穴が空いたような……………。
何かが抜け落ちてしまったような、
そんな気持ちになった。