「どこにも行かないでくれっ。」
悠矢はあたしを強く見据えた。
「その約束は守れそうにもない。」
「もう止めろよっ。」
「止められないよ。もう今さら後には戻れないの。」
あたしは悠矢の胸を押し返した。
悠矢とあたしの間に近いような遠いような距離が出来る。
「あたしと悠矢の最初はこんな距離だったのにね。」
あたしは悠矢の頬に手を添えた。
「いつからあたしと悠矢はこんなに近くなったんだと思う??」
あたしは悠矢から身体を引き離した。
「嗄綺っ…………行くなっ………。」
悠矢が離れようとするあたしの腕を強く掴んだ。
「またね??」
あたしはその腕を優しく解くと悠矢の家を出た。