「嗄綺。」
「なんですか??悠矢先輩。」
「ゴメン。」
「それ、何に対して謝ってますか??」
あたしはゆっくりと悠矢先輩の手を解いた。
「どこにも行くなッ。」
「行きませんよ、今はね。」
「どうしてなんだよ。」
「何がですか??」
「なんでいつも嗄綺が苦しまなきゃいけないんだよ………。」
その悲痛な声は静まりかえった部屋に溶けていく。
あたしが苦しんでいる??
そんなことないのに悠矢先輩は何を言っているんだろうか。
「苦しんでなんかいませんけど??」
あたしの冷え切った声は部屋中に響いていた。
「嗄綺ッ…………もうアイツ等を捜すのは止めろよッ。」
「嫌です。」
「なんでだよッ!!!!」
あたしは悠矢先輩と向き合った。
悠矢先輩の表情は今にも泣きそうな壊れてしまいそうな表情だった。
「じゃあ、悠矢先輩があたしの代わりに波奈を守ってくれますか??」
「えっ………。」
「もし、悠矢先輩が波奈を守ってくれるならあたしは『自分の意志』では捜しません。」
「もし、俺が『NO』といえば??」
「あたしは『自分の本能』で『自分の意志』でアイツ等を捜します。」
「嗄綺、分かってくれよ。」
悠矢先輩はあたしを真っ直ぐに見据えた。
その瞳は何の濁りもなくただ…………。
あたしを純粋に『心配』して居てくれていた。

