「ねぇ、嗄綺??」


波奈が信号待ちの時に後ろから話し掛けてきた。


「ん??どうした??」


「なんでさっきから遠くの方に行ってるの??」


「あぁ~…………。」


あたしはバックミラーから後ろのバイクを見た。


どうするか………これ以上、バイクの速度は上げられない。


波奈にもし何かがあったら…………。


「波奈??」


「なに??」


「もう少しだけスピード出しても良い??」


「うん!!!!だって嗄綺の運転は好きだもん!!!!」


「そっか。じゃあ、もっとあたしに掴まっててね??」


「うん!!!!」


それから、波奈はあたしの言う通りにギュッとあたしに力強く掴まった。


それから、なるべく波奈の負担にならないようにバイクの速度を上げていった。


上げていく度に波奈の掴む力が段々と強くなる。


……………波奈ももう限界に近いな………。


「波奈、大丈夫??」


あたしは波奈になるべく優しく問いかける。


だけど…………。


「…………。」


波奈からは何も聞こえてこない。


「まさか…………。」


あたしは入り組んだ小道を色々と入っていった。