「あたしを……………1人にしないで………。」
あたしは、あんなに晴れていた空にポツリッと呟いた。
あたしがどれぐらいだろうか………………。
雨がどんどん降ってきていてもあたしは気にせずに大きな木の下に居た。
「………………このまま消えちゃえば良いのに………。」
「本当にそう思ってるの??」
突然、あたしの頭上から声がしてビックリした。
「なんで…………。」
そこに居たのは……………あの綺麗な子だった。
そこにはあたしと同じようにずぶ濡れになった綺麗な子。
でも、あたしが1番。
ビックリしたのは………………。
「なんで真っ黒なの??それに…………その瞳………。」
「あたしは黒蝶。」
「こ……………く…………ちょ………う??」
「この辺ではそう呼ばれてる。」
「えっ…………。」
「波奈、本当に消えたいのか??」
その言葉はどこか冷たい…………でも、何故か優しく問いかけられてるようにも感じる。
「………………うん。もう消えちゃいたいよ。」
「そうか。」
その瞳は…………雨の雫が垂れただけなのかもしれない。
なのに、泣いているようにあたしは見えてしまったんだ。
「あたしが、全身を黒に染めて。瞳が青い時。」
ゆっくりと綺麗な子は告げていく。
「あたしはもう1人の『自分』になる。それが『黒蝶』だ。」
「なんで……………黒蝶なの??」
「あたしが黒いからじゃない??でも、どうして『蝶』なのかは知らない。」
「なんで『黒蝶』になったの??」
「理由はない。でも、もう1人の自分を作ってみたかった。」
「ねぇ、お願い。名前を教えて??」
何故か、この時に聞いておかないとあたしは一生。
この日を後悔すると思った。
なんでかは分からなかった。 だけど、心の中でそう強く想った。