波奈side
あたしは『波奈』
彼氏は居ないけどそれなりに人生をenjoyしてるんだ!!!!
でも、あたしが今。
こうやって笑っていられるのは…………。
紛れもなく『嗄綺』が居てくれたおかげなんだ。
嗄綺はあたしの大事な『親友』でもあって『家族』でもある。
あたしの家族は居ない。
お母さんはあたしが2歳ぐらいに病死してしまった。
お父さんもあたしを育てようと必死に働いたけど………。
あたしが中学2年生の時に働き過ぎの悪循環で『疲労死』してしまった。
それからあたしは施設へと行った。
でも、あたしはもともと『人見知り』する癖があってあまり仲の良い人が出来なかった。
そんな時にあたしは1人の女の子に逢った。
綺麗な黒髪を靡かせて、大きな樹にそっと寄り掛かりながらスヤスヤと眠る女の子。
その寝顔は幼い子供のように儚げなのに、どこか凛としている。
「…………綺麗な子………。」
そう小さく呟くと…………。
「…………んっ…………。」
小さく唸って目を擦りながらあたしをゆっくりと見てきた。
「……………あんた誰。」
「あのっ…………あたしの名前は波奈!!!!」
「…………波奈。」
「ねぇ、あなたの名前。教えて??」
「あたしは……………。」
あたしは次に出てくる言葉を楽しみに待った。
でも、あたしに向けて出てきた言葉は予想外の言葉だった。
「あなたに名前を教える『意味』が無い。」
そう言って、あたしの横を通り過ぎてしまった。