✰哲平side✰


背中に伝う汗が……………今の季節は夏のはずなのに………。


「冷てぇ。」


ゆっくりと手を見た。


「…………震えてる………。」


初めて、人に『恐怖感』を抱いた。


俺はこの世界のトップの『黒龍』の総長だ。


何人もの奴を殴ってきた。


でも、殴られたことだってあった。


あの女の動きはその中で1番………いや。


1度もあんなに早い奴に会ったことはない。


_________話してる刹那。


女の姿が消えてた。


でも、気が付いたら俺の首にナイフを押さえ付けながら笑ってた。


何もかも虜にするかの様に『笑って』いたんだ。


「……………なんで俺はキスなんかしたんだ………。」


女に気が付いたら『触れたい』と思って。


気が付いたらその身体を引きつけてキスしてた。


俺は自分からキスなんてしたことがない。


逆に俺からなんてしたくない。


俺の近くにはすぐに女が寄ってくる。


まぁ、どうせこの『顔』と『黒龍の総長』という『肩書き』が欲しいんだろう。


だから、俺は女を道具や暇つぶしにしか使わない。