「なんか用でもあんの。」


あたしは木から下りて、ゆっくりと口を開いた。


「お前は…………何者だ??」


「別に見ず知らずの奴に答える意味がない。」


あたしは凄みのある声で言った。


これで帰るだろう。


所詮、チンピラだ。


今はあんまり動きたくない。


正直、眠たいっていうのもあるから…………。


だけど………まだそこには男が居た。


「おもしれぇ。」


男はゆっくりとあたしに近づいてきた。


コイツ…………何者??


あたしがたいてい、チンピラに絡まれた時は少し殺気を出すだけですぐに消える。


なのにコイツは笑顔であたしに近づいてくるんだ。


だけど、その瞳はまるで『絶望』に染まったかのような黒く沈んだ瞳。


「来るんじゃねぇよ。」


更にあたしは殺気を出した。


だけど、その男はどんどんと近づいてくる。


「いい加減にしろよ。」


あたしはすぐに男の懐に飛び込んだ。


あたしはすぐにナイフを首に当てる。


「死にたくなかったら消えろ。」


早くこの場所から消えろ………。


あたしは冷めた瞳でその男を見つめた。