不意に、月を眺めたくなって。
顔を空へと向けた。
それが、いけなかった…………。
「………っつ……。」
小さく1つ息を飲んだ。
『………嗄綺??どうしたの??』
波奈の心配そうな声が鼓膜を揺すぶる。
あたしの………俺の…………目に映るのは、
「………紅いっ…………月がっ……。」
掠れた声が酷く閑静な住宅街に響く。
『嗄綺!?大丈夫なの!?』
波奈の声は聞こえているのに、あの時の出来事がフラッシュバックする。
「………ごっ………めんっ。まだっ………帰れないっ……。」
ズキズキと痛む頭を片手で押さえつけ、波奈との通話を終了させた。
その後の出来事は…………ある部屋で聞かされて分かった……。

