ただ、あの時の俺は自分の『存在理由』が欲しかっただけなんだ。
俺の声をちゃんと聞いてくれる人がほしかったんだ。
大勢いなくて良いんだ。
たった1人でも良いから『俺』をしっかりと見てくれる人がほしかったんだ。
「棗。」
真純さんの声に過去を思い出していた意識が今へと引き戻される。
「スミマセン、飛んでました。」
「あぁ、気にしてない。」
目を細めて笑う真純さんの顔は『あの人』を思い出す。
すると、真純さんの口から………。
「棗、嗄綺はな。咲良のよく話していた女だ。」
…………咲良さんの言っていた女??
「突然、なんですかっ??」
何故か、これ以上。真純さんの話を聞いちゃいけない気がした。
「嗄綺は凄く、駿介に似てるんだ。」
何故か、心拍数があがっていく。
俺は、もしかして。
何か間違えている??何かを見落としている??
その『何か』は分からないのに。
何故か、
無性に真純さんの話を聞きたくない。

