棗side
駿介が居なくなった部屋は息が詰まって、
「真純さんっ………どうしてっ……。」
真純さんは俺の憧れの人だ。
俺の相談にもいつも乗ってくれる人で、
だけどいつだって俺がほしい言葉をくれた。
なのに、なのにっ…………。
「なんでっ………駿介と俺を会わしたんですかっ………。」
『駿介』という名前に心が痛い。
俺の本当に『親友』としていつも一緒にいた駿介。
『戦友』としても俺と一緒に居たんだ。
なのにっ………駿介は俺を。
…………あの大事な黒龍さえも…………裏切ったっ………。
「棗、お前。駿介は今でもお前の恩人か??」
真純さんが不意にそんなことを聞いてくる。
「駿介は…………。」
俺にとって駿介の存在は………。
「例え、黒龍を裏切っても俺の恩人ですっ………。」
そうだ、俺にとって駿介は………。
俺を救ってくれた奴だった。