「なぁ、駿介。俺はもう良いと思うぞ。」
真純の声が、
「真実をもし知ったらコイツ等は自分自身を一生、恨んでいくぞ。」
優しくて、
「お前はそれでもいいのか??」
心に突き刺さって、
「時に真実は人を傷つけるって………教えてくれた人が居るだろ。」
苦しくて、痛くて。
「………咲良さんっ………の言葉ですよねっ………。」
棗の泣きそうな声に、表情に押し潰れそうだ。
「真純、俺はもう良いんだ。真実を告げる気持ちはない。」
穏やかに話す。
「俺はもうコイツ等の側には…………。」
居られない存在なんだ…………。
「出掛けるぞ………棗、笑って生きろ。」
俺には…………笑うことも許されない。
だから、代わりにお前が俺の分もたくさん笑ってくれ。
そんな意味を込めて『いつものように』頭を撫でた。
「じゃあな。」
背を向けて、足早に部屋を出る。
「駿介っ!!待ってくれよ!!」
棗の引きとめる声にも反応せずに、逃げるように出る。
「っつ…………うっ………ゴメンッ………。」
今は溢れだしたコレを見られないように、気付かれないようにするのに俺は走った。