「哲平、それがお前の答えなのか??」
意志のあって、どこか壊れそうな瞳が俺を映し出す。
「仲間を守るためなら嗄綺から手を引くか…………。」
「はい、俺はそんな守り方をするのが俺だからです。」
はっきりとした哲平の声は荒れ狂っていた哲平の面影は見えなかった。
嗄綺、哲平はあの日から立ち直っているぞ。
少しずつだとしても前を向き始めてるぞ。
「嗄綺はお前たちが最も信頼していて最も嫌いな奴だ。」
「最も信頼していて最も嫌いな奴??」
哲平の顔が歪む。
「心当たりのある奴でも居たのか??」
黒龍の奴等がたった一人だけ絶対の信頼をおいていた奴が過去に居た。
それは、嗄綺だった。
『駿介』[syunsuke]と言う偽名で黒龍の中に居た。
偽名を使わなきゃいけなかったのは嗄綺の家柄だった。
俺からは何も言えないが、嗄綺は嫌がっていたんだ。
嗄綺は『裏切り』が心の底から嫌いな奴だから。
「居ないのか??」
ドスの効いた低めの声で聞いた。
忘れたなんて言わせない。
消し去ったなんて言わせない。
嗄綺は泣きながら黒龍を出ていったんだ。
『私がいけないんだ。罪ある者は罰を受けなきゃいけない。だから、痛くなんかないよ。当然の報いだから。』
そう笑っていた嗄綺だったが泣いていたのを俺は知っている。
写真を未だに大切に持っているのだって分かってる。
「哲平、アイツは・・・・・・・・駿介は本当の正体は・・・・。」
「初代黒龍総長の貴方でも言って良い事と悪い事は分かりませんか??」
舜弥の怒りを含んだ声が鼓膜を震わせる。
「真純さん、俺もソイツの話は聞きたくないですよ??女の子達の話なら喜んで聞きますけどね??」
竜呀が真っ直ぐ俺を見てくる。
「俺は裏切り者の話なんか聞きたくないですよ。」
あぁ、そうだったな。
竜呀は最も『裏切り』が嫌いな奴だ。
嗄綺と同じように。

