「真純さん!!コンチワ」
「おぉ、元気かぁ」
ここは黒龍の溜り場だ。
そして、かつて俺が頭を張っていた場所。
「お前等も少しは逞しくなったのか??」
冗談交じりに呟いて、あのへやへと続いていく階段をゆっくりと登っていった。
「入るぞ。」
一言だけ放って、ドアを開ける。
「真純さんっ!!あの女どこですかっ!?」
悠葵が俺に掴み掛かってくる。
「おいっ!!少しぐらい落ちつけよ!!」
取り乱している悠葵を宥めるように舜弥が悠葵を押さえ付ける。
「真純さん、俺もあの女の子がどこに居るか教えてほしいです。」
竜呀が俺を見てはっきりと伝えてくる。
その瞳は、怒りを纏っていて少しだけ鋭い。
ったく、こいつ等は本当にバカそのものだな。
「お前等は本当に嗄綺の存在を分かってないのか??」
ただ、なんとなく呟いた一言。
「俺はあんな女なんか知らねぇ!!」
悠葵が怒り狂ったように怒鳴る。
「俺も知らないな。」
竜呀がはっきりと呟く。
「俺も分からないです。」
舜弥も戸惑いながらでもはっきりと話す。
「哲平もか??」
本当にこいつ等、バカだな。
「俺は……………今の嗄綺のことしか分からないです。」
あぁ、こいつ等は何もかも忘れてしまったのか。
目の前が悲しみに埋もれていくかのように、色を無くしていく気がした。