「俺は、嗄綺が誰かを殴ってる時の顔が1番嫌いだ。」
「殴ってる時の顔??」
「嗄綺の心が傷付いてる。」
「!!!!」
「そうだろ??本当は誰1人だって殴りたくないはずだろ??」
「…………。」
「なぁ、どうしてそんなに「悠矢先輩。」」
あたしは悠矢先輩が振り返ると同時に悠矢先輩を押し倒して素早く喉に……。
「嗄綺っ!!!!」
「怖いですか??」
あたしが悠矢先輩の喉に押しつけているモノ。
それは、ポケットナイフ。
でも、このナイフはどこにでも売っているようなモノではない。
少し触れただけでもすぐに切れてしまう。
あたしが買う時に『ナイフ』が最初は『あたし』を気に入らなかったらしい。
触る度にすぐにあたしの手は傷だらけになってしまった。
でも、ある時だった。
波奈を………助けたいと心から思った時にポケットに入っていないはずのナイフがそこにはあって。
あたしと波奈を助けてくれた。
『モノ』にも命がある。
それはこの時に本当に信じられた。
あたしのこのナイフのは名前がある。
このあたしの片割れの名は『嗄奈』だ。
あたしと波奈の名を使って懐けた。
波奈に話したら、泣きながら『嗄奈』・『嗄奈』と繰り返していつも笑顔になっていた。