「俺は…………羨ましかったんだ。」
「羨ましかった??」
「俺は総長として見られていながらもその仲間として存在しているのが羨ましかった。」
「真純が『総長』と呼ばれていたり、『真純』と呼ばれていたりするからか??」
「そうなのかもな…………。」
「お前は愛されたくて、自分を必要として欲しかったんだな??」
「愛されたい………か………。」
「あたしがお前を必要として愛してやるよ。」
「はっ??」
男はあたしの言葉に目を見開いている。
「あたしはお前が必要だ。」
「何言ってんだ??」
「今は信じれなくて良い。だけど、絶対にお前が逆にあたしを必要としてくれるまであたしはお前にずっと愛を受け渡すよ。」
「お前が俺を変えるってことか??」
「あぁ、それだけじゃ足りないか??」
「お前もそこ等辺の女と変わらねぇだろ。」
「あたしは違う。そう簡単にヤらない。」
「……………。」
男は訝しげにあたしを見る。
「名前は??あたしの名前は嗄綺だ。」
「……………紘也。」
「紘也か。良い名前だな。」
あたしはそっと腕を掴んで立ち上がらせた。
「っっ…………。」
「お前をあたしは紘也と呼ぶ。ただし、紘也はあたしが信じられるようになったら『嗄綺』って呼べ。」
「…………。」
「愛を教えてやるよ。」
あたしは真純に目を向けると、そっと笑った。