すると、1人の男があたしを見て怯えていた。
「あっ…………うっ……………。」
身体は以上に震えていて呂律が回っていないのかまともに喋れていなかった。
「…………怖いか??」
あたしの低い声が響く。
「っっ!!!!」
男はただ……………何も喋らずに震えていた。
しかし、その手にはナイフを握っていて刃先はあたしに向けられていた。
「何もしてこないならしない。大丈夫だ。」
そう男に言っても男の身体の震えは止まらない。
「それをあたしに渡せ。」
あたしはその男の前にまで歩いて行った。
「ヒッ!!!!」
その男は更に身体を震わせる。
「……………。」
あぁ、胸が焼き裂かれるかのように痛いなぁ。
何度、こんな瞳をあたしは向けられたのだろうか…………。
「あたしのように汚れてしまうな…………。」
あたしはそっとその手に触れた。
「っっ!!!!」
声にならない悲鳴のようなものが男の口から漏れる。
「お前の手はこんなにも温かいだろ??」
あたしはその手からゆっくりとナイフを取った。
あたしはそのナイフをポケットにしまうと、その男の頭を撫でた。
「お前はまだここからやり直せる。」
あたしは男に微笑んだ。
分かってほしい。
まだ………………やり直せることを。
まだ、諦めなければ出来ることがあることを。
あたしはその男に背中を向けると、真純の場所へと向かった。