いつになく、真純があたしを見てくる気がする。
「あたしの顔に何か付いてる??」
「何も付いてねぇぞ??」
真純は不思議そうにあたしを見る。
「じゃあ、なんでそんなに見てくるの??」
「見てたいから。」
「そうですか………。」
そんなに即答されたらなんて答えて良いか分かんないよ…………。
「なぁ、嗄綺。」
不意に真純があたしの名前を呼んだ。
「どうしたの??」
「なんで黒龍の場所に居たんだ??」
「あぁ…………真純はなんでだと思う??」
「……………哲平たちに拉致られたのか??」
わぁ、真純さんの後ろに死神さんがニッコニコしながら居るんですけど。
「違うよ。」
「じゃあ、なんだよ。」
真純は何も思い浮かばないのか、あたしの顔を見る。
「あの時の奴が哲平だったのか………。」
あたしは真純を真っ直ぐに見た。
「まさか……………咲良の所であったのか??」
「お見事。そうだよ。」
「嗄綺、何を考えてるんだ??」
真純があたしを後ろから抱き締めてきた。
「真純??動きにくいんだけど。」
「今は別に良いだろ。」
「料理作ってるのに…………。」
「もう出来てるだろ??」
真純はあたしの肩に顔を置いて言った。
「まぁね。」
あたしは真純に抱き締められながらお皿に盛りつけていく。
「懐かしいな。久し振りの手料理だ。」
「真純は自分で作れるのになんで作らないの??」
「嗄綺が来た時しか作らねぇよ。」
「なんでよ。」
あたしは真純の方に顔を向けた。
あっ…………真純の香水の香りがする…………。
「俺は嗄綺にしか食べさせないからな。」
そんなことを言われた。
「好きな人に言ったら??」
「俺は嗄綺だけだ。」
「真純、何度も言ったようにあたしはダメだよ。」
「嗄綺、もう止めろよ。」
「何を??」
真純に問いかけた。
聞かなくてもわかるはずなのにあたしは答えを濁す。
「嗄綺、分かってるんだろ??俺が嗄綺に言いたいことが。」
「分かってるよ、でもあたしは止められない。」
「なんでだよ………。」
真純があたしを更に強く抱き締める。
これは真純のサイン。
切なくて、泣きそうなサイン。
でも、今度ばかりはこのサインには気が付いてはいけない。

