✰真純side✰
俺の隣に居るのはもっともこの世界で大切な嗄綺だ。
俺は嗄綺を守るのだったら何でも出来る。
嗄綺にはもうこれ以上『ツラい想い』をさせたくない。
あの日のことはもう嗄綺は考えなくても良いぐらいに…………。
俺は嗄綺の手を引いて高層マンションに入った。
ガラス張りのエレベーターに乗ると、
「あたしもここに住もうかなぁ。」
隣で嗄綺は流れていく景色をその澄んだ瞳で見つめながら呟いた。
「住むなら俺の所に来いよ。」
そしたら、嗄綺を守れる。
あいつ等からも。嗄綺を辛くさせないためにも。
「あたしは気分屋だからダメだよ。」
嗄綺は儚げに笑った。
それは、俺に対して『遠慮』をしているから。
どんな時だった嗄綺は誰かを頼ろうとはしない。
必ず、何事も1人で行おうとする。
前に何度か言ったことがある。
『1人で抱え込むなよ。誰かに頼れ。頼れないなら俺の所に来い』
そう言う度に、嗄綺は空を切なげに見つめる。
その後、嗄綺は妖艶に笑う。
『もし、頼ることがあるならあたしは波奈のことを真純に頼るよ。』
毎回、同じ答えしか返ってこない。
いつだって、どんな時だって嗄綺は自分の事よりも『他人』を大切にする。
あと何度、嗄綺が苦しまなきゃいけないんだ。
あと何度、嗄綺があの時のように感情を無くせば良いんだ。
あと…………何度…………嗄綺が心を無くさなければいけないんだ。
俺は楽しそうに料理を作っている嗄綺を見ながらそんな事を考えていた。
✰真純side end✰

