「桜ちゃん!もうお母さん、大丈夫よ!」


そう言いに来てくれた看護婦さんの声で目を覚ました。


時計の針は、もう夜の12時を回っていた。

先生は『良かったな』と言って、また私の頭を撫でてくれた。



「ありがとう、先生。なんてお礼言ったらいいか分かんないよ…。」


「ありがとうで十分!じゃあ、俺帰るけど……桜は?」


「今日は病院に残る……」


「ん。分かった。また落ち着いたら連絡して」



先生はそう言って、奥さんと子供が待つ家へ帰っていった。


教師以上のことをしてくれる先生に、戸惑う私。

“父親代わり”なんて、そう簡単に言える言葉じゃない。


このまま先生に頼っていていいのかな……。

きっとだめだよね。


もっと1人で立てるように、強くならなきゃ……。