みんなから死角になるところまで来ると振り返った。
「なんであんな大勢の前で話しかけるんだよ」
「え、それは…っ」
「他の奴らから見たら独り言を話してる可笑しな女の子だ」
そう言っている篤真は何かあせってる感じだ。
何にあせっているのかはわからないけど。
とても言い方が冷たい。
「ごめんなさい…」
「ゆあを守りたいから言ってるんだ」
「うん」
「俺は生身の体を持たないから、
直接庇って助けてあげることなんてできない」
そう、唇を噛みしめて言った。
「うん」
「…だから、こういうところでは話しかけるな」
「わかったよ」
このとき、私は忘れていた。
凛子が篤真を見ることができていたことに。

