あなたらしいと言ったら、そうなるわ。
でもね……、
きっとみんなは…貴方自身の言葉を、真の思いを…
聞きたいのでは…ないでしょうか。
彼は教室の端に置かれたCDデッキを教卓に置くと……
コードを、コンセントへと差し込む。
再生ボタンが押されて。
そこから、流れてきたのは……
優しい旋律。
滑らかに演奏される………ピアノの音。
「……この曲、聞いたことある……」
オオサカが……、ぽつりと呟いた。
「ええ。……Kiroroさんの『未来へ』という曲よ。」
ニシハルはこくりと頷いて………私達の顔をゆっくりと……見渡した。
「知ってた?お前ら。………新見先生って超のつく程の音痴だって。」
生徒達は皆顔を合わせて…、首を振ったり、傾げたり……。
「ちなみに音楽はいつも2だったって嘆いてた。でも…これを弾いてるのは……新見先生だ。」
………!
これを……新見先生が…?
「産休に入る前に……この日の為に、毎日音楽室で練習していたんだ。しかも、4月から弾きはじめたらしいから……もう一年にもなるな。大事な時期に休暇に入るのが…申し訳ないって。せめてお前らに何かできないかと…考えてた。」
新見先生が……?
赤ちゃんを産むことなんて、めでたいばかりなのに…。
幸せなことだっていうのに…ずっと引け目を感じていたの?
「この曲に、彼女が込めた想いは…沢山ある。まずは…、ピアノなんて全く弾けなかったのに、ゆっくりでも…どんなに時間がかかろうが、積み重ねてきた努力で…できるようになったこと。……要は、諦めない心を持つこと。」
ニシハルは黒板に……
大きく字を綴る。
『諦めない心』。
「……あと……、この歌詞にもあるように…。たまに足元を見ろってこと。迷っても、立ち止まっても、必ず…自分がいるそこには……、道が続いてる。未来へと…続く道が。だから自信を持って……前を見ろ。」
チョークを軽快に滑らせて……、再び、文字を綴る。
『前を見よ』。


