学校までの道のりには、まだまだ雪が残っていて、春の到来とは言い難いけれど……。
風に乗せてやってくるのは……
鼻先をくすぐるような、懐かしい香り。
暖かい……春の匂い。
もう…ここを歩くことはないのかもしれないと。
一歩一歩踏み締めて……
歩いていく。
そう……、
一歩一歩…………。
「…お嬢ちゃん、今日は暖かくて気持ちいいわねぇ~?」
腰を折り曲げたおばあさんが、私を…追い抜いていく。
「……ええ。本当、最高ですね。」
まさに……、
卒業日和!!!
しばらく歩みを進めていくと……、
「……はじめのいーっぽ!」
子供達の元気な掛け声が……
響いてきた。
近所の小学生であろうか……?
沢山の弾ける笑顔が、視界に飛び込んでくる。
「……だるまさんが転んだ!」
……ぴたり。
「だ·る·ま…さんが……………、転んだッ!」
ぴたり。
こ……、困るわ!
なかなか前に進めないじゃない!
「…そこのネーチャンすげ~…。人形みたいに動かねーぞ。」
ひぃ……っ
プ……プレッシャーが!!……パネェ!
…が、ネーチャンは忙しいゆえ……、そろそろずらかるぜぃ!
鬼の少年が目を離したスキに…
「………ドロン!」
………逃げ出す。
「…あ、ネーチャン動いたッ!」
ひぃい~!
見つかった……!!!
………と、ここで。
スッテ~ン……☆
……思いきり…転んだ。
いっぽさんが転んだ……。
……なんて言ってる場合じゃないわ……!
じんじんと痛む膝小僧からは……、
じわりと血が滲んでいた。
な、七転び八起きと久則は言ったわ……!
Stand up!いっぽ!
ふらり…ふらふら立ち上がり、これから向かう道の先を見つめると。
「……ん?」


