恋はいっぽから!






跳びはねた黒ひげ殿は、テーブルの上をのたうち回って。




やがて……、



ぴたり。とー………



動かなくなった。






「これでは『危機一髪』どころか『危機一発』ね。…かたじけない。」




私は彼に…頭を垂れる。







「………。一歩。」



そんな私の行動を、じっと見ていた宏輔が……



静かに私の名前を呼んだ。





「……?何でしょう?」




真剣な……面持ち。





「こんなに沢山の選択肢があったのに…、何故お前はこうなんだろうな。」




「………?宏輔…?どうしたのですか?自分の出番がなっかたから…不満だと言いたいの?」




「……違う。」



「たかがゲームではないですか。熱くならないで下さい。」



「……確かに……、これはゲームだ。……けど…、リアルなもんだな。」




「…………?」




「お前は……、まだ若い。沢山の可能性に満ちている。」




「…………?宏輔…?」




「一つでもまだ可能性があるのなら……、それをわざわざ消し去ることなど…しなくてもいいハズなのに……。」




「……………。」




「今……、間違った選択をしたとは思わないか?」




「……はい。今となれば、違う所を選べば良かったかと。」





「……だろ?結果が見えて初めて気づくことだ。『後悔先に立たず』。」




「………宏輔……、酔っていますか?今アナタは皆がわかりきった、いわゆる『当たり前論』を語らっておりますが……?」




「……『当たり前論』…、ね。分かってはいるんだな。」




「………?何を言いたいのでしょうか。」




「………。確かに…、俺は酔っている。ろれつは回らないし、お前のごっこ遊びに付き合うのも…楽しくて仕方ない。嬉しくて、酒に呑まれて、レロレロだ。だけど……、まだお前よりは現実が見えているつもりだ。……………間違った選択だったと……ふぁあ~(欠伸)…思……………。…思…………zZZ……zZZ……」





「………。寝たわ。」



宏輔は、真っ赤な顔をして。



黒ひげ殿と同じ方向に顔を向けて………





寝てしまった。